사랑의 불시착(愛の不時着),2019年12月〜2020年2月,TVN/Netflix

韓国傑作ドラマ批評(10)
◆オススメ度(★〜★★★★★):★★★★★

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愛の不時着

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사랑의 불시착


◆見どころ:
普通のラブコメで終わらない、北朝鮮に不時着した韓国人ビジネスウーマンと、北朝鮮のエリート士官とが繰り広げる命賭けのロマンス。
 
主演男優、#ヒョン・ビンの独特の低く響く声、繊細な表情と美貌、軍服が映えるように鍛え抜かれた長身と、そこから繰り出される本格アクションに魅せられること間違いなし!
主演女優、#ソン・イェジンのコミカルさと抒情性を兼ね備えた迫真の演技に脱帽!
  
◆オススメの理由ー進取の現代性と方法としての政治性:
 
・この壮大なラブコメ/ロマンスドラマの「現代性」は、男女の恋愛を描くことを「目的」としているのではなく、それを一つの「結果」として描いているところ。では、目的は何かと言うと、人間愛を描くこと。彼らの愛は、「利己」から程遠い。「利他」を突き詰めて、突き詰めて、最後に到着したのが、主人公カップルの場合「結婚」ではなく、1年に2週間だけ外国で会うという関係。そして準主人公カップルの場合、相手のために犠牲になって一人(男性)が死に、もう一人(女性)は一生独身で、堂々と人生を謳歌する。結婚がゴールインでないところ、多様な価値観をみせるところがなんと現代的なこと!
 
・『パラサイト』のポン・ジュノの監督が「社会」的メッセージを伝えようとして映画を作ったのではなく、ただ人間を描こうとした結果、人々に現代社会を批判的に省みさせる契機を作ったように、このドラマのライターも究極の「利他」を描こうとした結果、命がけにならざるをえない南北関係を利用したのだろう。それでも、これを見た人は、南北出身の主人公が結ばれるように、南北朝鮮(韓国)も統一すればいいのにという感情を抱くだろう。このドラマが北朝鮮で地下でみられるようになれば、爆発的な政治効果をもつだろう。民主化した韓国は北朝鮮を批判せずに抱擁するドラマを作れるが、独裁国家北朝鮮はそれができない。ソフトパワーが重要な影響力をもつ昨今、韓国が有している進取のエンタメ力が北朝鮮社会にとてつもない心理的ボディブローを与えるだろうことを、一視聴者として今日、予想しておく。
 
◆内容:
この際、今日の時点では、書きたいことは書いたので省きます。